【感想】『死の淵を見た男』門田 隆将著【2016年03月01日】
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本書は、2011年3月11日、東日本大震災が起きた直後、福島第一原発でどのような危機が起こり、どのように対処したのかを克明に記した内容となっています。
ノンフィクション作家である著者が、当時、福島第一原発所長だった吉田昌郎さんや首相の菅直人さんなど90名以上にインタビューを実施。かなり細かい部分まで当時の状況が再現されています。
読んでわかったのは、あの時、一歩間違うと、日本が3分割(北海道・立ち入り禁止区域・西日本)になってしまう恐れさえあったということ。そして、所長が吉田昌郎さんでなかったら、その可能性はとても高かったということです。
また、当時の首相が現場介入し、現場が非常に困惑していたことなども書かれており、リーダー論としても参考になる点が多いです。
吉田さんはこの出来事の後、お亡くなりになってしまいますが、当時の状況下で受けた、身体的・精神的ストレスが半端なく、命を縮めてしまったのではと感じずにはいられません。
あの時、避難をせず現場に残り、自分の命を顧みず、日本を守ろうとしていた人々がいたことを、決して忘れるべきではないと痛感した次第です。
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