【感想】『長嶋茂雄 最後の日。 1974.10.14』鷲田 康著【2016年09月01日】
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本書はタイトルの通り、長嶋茂雄さんの選手としての現役最後の1日を中心に書かれています。
「我が巨人軍は永遠に不滅です。」という日本人であれば誰でも一度は耳にしたであろうあの有名なスピーチを行った日ですね。
私自身、長嶋さんの現役時代は知らない世代ですが、今ほど娯楽がない時代にプロ野球が大いに注目され、その中でもスーパースターの長嶋さんの引退ともなれば、すさまじい影響が国内であったであろうことはたやすく想像出来ます。
読んでみて、やはり長嶋さん引退のニュースは国民的な大事件であり、また、国民の気持ちに長嶋さんも見事い応えていたということがわかりました。
本書では、長嶋さんが引退を決断する過程からラストスピーチまでがじっくりと書かれており、なかなかの取材力です。
全編読んでみて、何よりも印象に残ったことが、長嶋さんがファンをとことん大切にしているということ。
「ファン・ファースト」を徹底的に貫いていて、過去も現在も長嶋さんほどファンを大切にしている人はいないのではないかとさえ感じます。
例えば、それは、元メジャーリーガーの松井秀喜さんの下記のコメントからもわかります。
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監督が何を気にしていたかというと、ファンなんですよ。選手よりファン。
ファンにどう喜んでもらうか、そのためにどういうチーム作って、どうやって勝つか。どういうタレントを集めるか。
他の監督とは全然違うプロデューサーなんです、長嶋茂雄っていうのは。
それを理解しないと、長嶋監督っていうのは理解できないと思う(13ページ)
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そんな長嶋さんが、ファンを大切にしている一番の象徴的なエピソードともいえるのが、引退セレモニーでの「予告なき場内一周」です。
当初引退セレモニーでは、国民的なイベントになるため、お客さんが興奮してグラウンドに入ることなどを懸念して、場内一周の予定がなかったのですが、当日まで長嶋さんが強く主張し、当日になって急きょ場内を一周することが決まるのです。
そして、場内をまわっている最中、長嶋さんは立ち止まりタオルを顔にあて号泣・・・。
今でこそ、引退セレモニーの象徴的なシーンは、上述したスピーチの場面なのですが、当時はこの号泣シーンがクローズアップされたそうです。
数々の伝説を生み出し、国民的人気を誇る長嶋茂雄。その人気の秘訣は、どの選手よりもファンを大切にしていた点にあったのです。
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