『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』出雲 充著【2016年12月01日】
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著者の出雲充さんは、株式会社ユーグレナの創業者。皆さんはこの「ユーグレナ」という名前について、一度は聞いたことがあるでしょう。
ユーグレナとは、別名でミドリムシのこと。
植物と動物の間の生き物で、藻の一種でもあるミドリムシは、植物と動物の栄養素の両方を作ることが出来ます。そして、その栄養素の数はなんと59種類に及びます。
さらにそれだけではなく、ミドリムシが光合成により作り出し、体内に蓄えた油を石油と同じように精製すれば、ロケットやジェット機の燃料として使えるバイオ燃料が得られます。
食料、栄養、地球温暖化、エネルギー。これらの途方もない問題を、ミドリムシは解決出来る、「奇跡の生物」なのです。
そして、出雲さんは、このミドリムシについて、不可能といわれていた「大量培養・製品化」を成功させました。
本書では、出雲さんの「ミドリムシとの出会い」から、株式会社ユーグレナ創業、挫折、そして復活までを書いています。ちなみに、サブタイトルは「東大発バイオベンチャー『ユーグレナ』のとてつもない挑戦」となっています。
出雲さんが、株式会社ユーグレナを立ち上げるきっかけとなったのが、18歳の時に行ったバングラデシュでのインターン。
ここで栄養失調で苦しんでいる子供たちを見て、「ビジネスを通じて飢えに苦しむ人に栄養素を提供していきたい」という思いを抱くようになったのです。
そのような中、ミドリムシとの出会いを果たし、一度は東京三菱銀行に就職するものの、僅か1年で退社。株式会社ユーグレナを起業し、ミドリムシの培養に専念するのです。
そして、多くの人々の協力を得て、大量培養に成功。
しかしながら、この「まさにこれから」というタイミングで、出資してくれていたライブドアに強制捜査が入る、いわゆる「ライブドアショック」の影響をもろに受け、その風評被害からほとんどの会社から取引を停止されるという事態に。
まさに手のひら返しを受け、そこから再び信頼を得るまでの苦労は半端なく、会社も倒産寸前までいったそうです。
そこからの現状は、今の世の中をみればわかるでしょう。ユーグレナを使用した商品は街中でも多々みられます。
この本で一番印象的だったのは、「極端すぎる日本」という項目でした。
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創業してからこれまでの7年を振り返って思うのは、日本は極端すぎる、ということだ。
アントレプレナー文化が育たないのも、このあまりにも極端すぎる日本の空気のぶれ方があるのではないか、と思う。
僕たちのようにひとたび「こいつはライブドア関連だからダメだ」と見なされたら、そこから這い上がるのにはたいへんな努力と時間を必要とする。
しかし「これはいける」となったら、今度は我先にと雪崩を打つように押し寄せる。(203ページ)
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「異質を許容しない日本人の体質」という点はよくわかる気がします。
これは良い面もありますが、マイナス面の方が大きいということでしょう。突出した個性がなかなか認められず、リスクを負いずらいということです。
「リスクを許容し、果敢にチャレンジ出来る」
そんな日本になることがいつか出来れば良いなと感じました。
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僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦 1620円 |
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